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建設業は年末が危ない?労働時間の偏りと36協定の見直しポイント── 繁忙期でもトラブルを防ぐために ──

  • 中村
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

12月に入り、建設業界は毎年のように繁忙期を迎えます。

工期の締め切り、現場の最終仕上げ、年末年始休暇前の追い込み作業。


どうしてもバタバタしてしまう時期ではないでしょうか。

そんな中で特に増える問題が、「知らないうちに残業時間が膨らんでいた」というケースです。


年末は労働時間が偏りやすく、36協定の範囲を超えてしまうリスクも高まります。

今回は、建設業の中小企業の経営者の皆さまに、

年末に注意すべき労働時間管理のポイントを分かりやすくまとめました。



■ 1. 年末はなぜ労働時間が偏りやすいのか?


建設業の現場は天候・工程・外部業者との兼ね合いにより、

スケジュールがギリギリになりがちです。

特に12月は、


        •       工期の最終局面で作業量が増える

        •       人手不足で一人あたりの負担が増大

        •       日没が早く作業が思うように進まない

        •       年末年始休暇前の駆け込み作業


などの理由から、通常以上に残業が増えやすくなります。

現場責任者も「もう少しだから…」と無理をしがちですが、

その結果、

        •       月45時間

        •       年360時間


という原則の限度時間を超えることも珍しくありません。



■ 2. 特に注意したい「特別条項」の扱い


36協定には、繁忙期に限り残業の上限を伸ばすことができる「特別条項」があります。

しかし、この特別条項は万能ではありません。


● 特別条項の主な制限

        •       年6回まで

        •       上限は「月100時間未満」「複数月平均80時間以内」

        •       労働者代表との締結が必要

        •       過重労働を避けるための措置義務あり


年末はこの特別条項を “無意識に使ってしまう” 企業が多く、

年明けに「すでに年6回の枠を消費していた」というケースも。

これでは、年度後半に本当の繁忙期が来たときに対応できません。



■ 3. 12月は労働時間管理の「振り返り月間」


年末は、1年の労働時間と36協定の運用状況を振り返るのに最適です。

以下の3点は最低限チェックしておきましょう。

① 残業時間の事後確認「見込みより残業が増えていないか?」「特別条項を何回使ったか?」を必ず確認。

② 休日労働の偏り年末は土日や祝日の作業も発生しやすく、休日労働が過重負担につながることがあります。

③ 現場ごとの負担偏り建設業では現場によって負担が極端になりがちです。特定の担当者だけが長時間労働になっていないかも要チェックです。



■ 4. 年末こそ「予防的な36協定の見直し」が重要


現場の働き方が毎年変動する建設業では、36協定を毎年見直すことをおすすめします。

例えば、


        •       工期が重なる時期を想定して特別条項の設定を見直す

        •       年間の繁忙期に合わせた労働時間の配分を検討

        •       会社の実態に合った上限設定に変更

        •       時期別の業務量の偏りを把握して次年度の協定に反映


など、現場の実態に合わせた改善ができます。

特別条項は「使わなくていいなら使わない方がよい」ものです。

むしろ、使わずに済む働き方の仕組みづくりこそが企業の信用につながります。



■ 5. 和泉事務所からのサポートのご案内


和泉事務所では、建設業の経営者さまから


        •       36協定の作成・見直し

        •       特別条項を使う際の注意点

        •       労務トラブルの予防策


といったご相談を多くいただいております。

「うちの残業時間、いまの運用で問題ないかな?」

「特別条項を使わないで済む方法を考えたい」

「年末に向けて労務の不安を解消しておきたい」


こういったお悩みがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

経営者の皆さまが安心して現場管理に集中できるよう、しっかりサポートいたします。

 
 
 

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